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500 チンクエチェントの下取り・買取額
みんなの500 チンクエチェントの思い出
◆シャリマーさん(型式:不明)
イタリアに越してきて、初めて買ったのがフィアットチンクエチェントでした。
ルパンが乗っている、あの古いチンクエチェントではなく、90年代の短期間に生産したモデルで、知らない人が多いと思います。
この車は私が欲しいと思って買ったのではなく、子供の幼稚園の送り迎えや買い物に使えば?と夫が勝手に買ってきたものです。
住んでいるところが不便だし、パーキングも不足していて、常に路上駐車をしなければならなかったので、小さい車を選んだのだと思います。
車が届いてびっくり。
パワステはないは、エアバッグもABSも、後ろのシートベルトもなかったと思います。
ダッシュボードですら、棚になっているだけで鍵をかけられるところがなくて、あまりにも質素な内装に唖然としました。
ところが、この車、スイートsuiteと名がついていて、シリーズのなかでも一番贅沢なラインということを知り、びっくりしました。
たしかにエアコンはついていましたが、いったいどこがスイートだったのか不思議です。
イタリアでは当時、エアコンがついている自動車がとても少なかったので、ひょっとしたらそれだけで贅沢だったのかもしれません。
当時のイタリアは欧州連合に入るために、重税が国民に課せられたりして大変な時期でした。
だから心に残るような素敵な車が生まれなかった時期と言えます。
このチンクエチェント。
乗りごこちは大変悪く、子供を乗せるのにとても危険だと思い、すぐに買い替えることにしましたので長くは乗っていません。
パワステがないだけでもほんとうにたいへんで、パーキングするときにはいつも苦労しました。
ある日、義理の姉がこの車を運転してちょっと遠出をしたときのことです。
エアコンに慣れていなかった彼女は、スイッチがオンになっていることに気付かず、夏の暑い日に、エアコンをつけたまま窓を開けて走っていました。
私はうしろに子供たちと乗っていたのですが、気付きませんでした。
そして自宅に到着するや否や、夫があわててこちらへ走ってきます。
気が付くと、なんとエンジンが煙を吐いていました!オーバーヒートしてたんですね。
その後、買い替えるまでに水のタンクが割れたり、この車はいろいろ故障が多かったのを覚えています。
このチンクエチェント、その後セイチェントという車ができて生産中止になりました。
フィアットは長い間ヒットに恵まれませんでした。
そして、10年以上経って、最近のチンクエチェントが登場。
私が乗っていたのとは煮ても似つかぬかわいい車で、自動車大国イタリアが帰って来たことに、ほっとしました。