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みんなの190Eの思い出

◆鉄馬さん(型式:W201)

「メーカーがコストを度外視して本気で作った」というのが分かるクルマだと思います。
「真面目な職人が手を抜かずに作るとこうなるのか!」と思わず嬉しくなるようなことが何度かありました。

ボディの作りはもちろんですが、細かな個所にも配慮が行き届いていて、長年乗っても新たな発見があります。
たとえは、エアコンのファン。
古いクルマなのでエアコンのファンから異音が出始め、修理のためにファンをチェックしたことがあります。
そこで驚いたのは、ファンにバランサーが付いていたことです。
ちょうど、タイヤのバランサーのような重りです。
ファンそのものはプラスチック製ですが、その回転を滑らかにするために、羽の一部に小さな重りが付いていて、回転の調整がしてありました。
つまり、ファン一つひとつをチェックしていたということです。
こんなこと、生産の効率を一番に考える日本のメーカーならしないのではないでしょうか?

冷却水の取り回しもよく考えられていて、エンジンが少しでも温まれば、温風が出ます。
他のメーカーのクルマでは、ラジエーターのサーモスタットが開くまでは温風が出ないようなものもあるのですが、190Eではそうではありません。
これを知った時には、クルマというものの奥深さに改めて気付かされました。

フロントのワイパーが1本なのも感心しました。
このワイパー、左右を拭くときは自動で伸びるんです。
だから、1本でありながら、2本ワイパーよりも広い範囲を拭ける。
しかも、1本だから動作中も見た目にうるさくないんです。
これは、2本ワイパーのクルマを運転すると分かります。
1本ワイパーに慣れると、2本ワイパーはなんだか煩わしいです。

古いクルマなので、走行性のなどは現代のクルマに遠く及びません。
でも、超安定した走りの感じは、ちょっと他のクルマでは味わえないものがあります。
5ナンバーサイズの小さなクルマですが、なんと言うか、とても滑らかな絨毯の上を走っているような、そんな感じがあります。
そのためか、長距離を走っても疲労度は少ないです。
想像以上に切れるハンドルも、ショッピングセンターなどの狭い駐車場ではとても使いやすいです。

もう、こんなちゃんと作ってあるクルマは出ないんだろうなぁ、とちょっと複雑な思いを抱かせるクルマでもあります。

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